サムレスグリップとは、器具を持つときの握り方の一種です。筋トレでは、ダンベルやバーベル、それ以外にも様々な器具を持って行うトレーニングがたくさんあります。今回はそうした器具を持つ際の握り方「サムレスグリップ」のメリットやデメリットなど、徹底解説します。
サムレスグリップとはどんな持ち方なの?

サムレスグリップはトレーニング中、バーベルやダンベルを持つ時の「掴み方」の1つです。サムレスという名前の通り、親指を使わないグリップの方法です。
通常、バーベルやダンベルを持つ時には親指と他の4本の指で、バーをぐるっと覆うようにして掴むかと思います。ちなみに、このグリップのことをトレーニングでは「サムアラウンドグリップ」と呼ぶことがあります。
それに対して、サムレスグリップでは親指を使わず、人差し指の横に添えるようにして持つ方法です。
なぜこんな持ち方をするのかと言うと、サムレスグリップには次のようなメリットがあるからだと考えられています。
サムレスグリップのメリット
腕への負担を軽減
例えばベンチプレスでは、ベンチに横になってバーベルを掴んで持ち上げます。この時、サムアラウンドグリップでバーベルを握ると、重量が上がるにつれて手首への負担が強くなってしまいます。
そこで、サムレスグリップで親指を使わないようにすると、バーベルを親指の付け根部分に乗せることができます。
このポジションだと親指の付け根にある比較的肉厚な部分でバーベルを持てる上、手首を無理に返さずに済むので腕への負担を軽減することができるのです。
ターゲットの筋肉へ集中トレーニング
また、サムレスグリップはサムアラウンドグリップに比べ、握力をフルに発揮することができません。しかし握力が発揮できないと言うことは、上腕の筋肉をあまり使わずにターゲットとなる筋肉に集中したトレーニングができるとも言いかえることができます。
そのため、トレーニングの中にはサムレスグリップを使うことでより効果的に筋肉を鍛えられるメニューがあります。
サムレスグリップにオススメなトレーニング
サムレスグリップに適していると言えるトレーニングは、先ほど伝えたベンチプレスなどが挙げられます。また、ベンチプレスではなくプル系と呼ばれるトレーニングにも、サムレスグリップは活躍してくれます。
プルと言うのは日本語で「引く」と言う意味の言葉です。代表的なのは、背中を鍛えるトレーニングメニューである懸垂(チンニング)やラットプルダウンの2つです。
▼ラットプルダウンについて詳しくは以下の記事をご覧ください。
このトレーニングではいずれも、サムレスグリップで上腕の筋肉の影響力を抑えることで、ターゲットとなる広背筋を中心とした背中の筋肉への効果を高めることができます。
▼サムレスグリップで行う懸垂トレーニング!詳しくは以下の記事をご覧ください。
サムレスグリップのデメリットと注意点
サムレスグリップのメリットを紹介しましたが、端的に言えば「手首の負担軽減」「ターゲットに集中したトレーニングができる」と言う2点がこのグリップの魅力です。しかし、一方でこのメリットが逆に次から紹介するデメリットにもつながります。
ケガに繋がる危険性も
先ほど、サムレスグリップの例としてベンチプレスを紹介しました。しかし、親指でバーを包まないで持つようにするサムレスグリップの場合、誤って手からバーが滑り落ちてしまった場合、体にバーベルが落ちてしまいます。もし高重量のバーベルを扱っていたら、重大なケガの原因となってしまうワケです。
実はサムレスグリップには、スーサイドグリップという別称があります。スーサイドは英語で「自殺」という意味がある単語です。このグリップでベンチプレスを行う時には、十分な注意が必要というワケです。
また、サムレスグリップを行うことで握力が低下すれば、その分トレーニングのパフォーマンスは落ちることとなります。それによって扱える重量が減ることに繋がったり、先ほど触れたケガの原因にもなったりします。
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サムレスグリップを避けたいトレーニング
サムレスグリップでは行わない方がいいトレーニングは、まずはベンチプレスが挙げられます。
やや矛盾した説明になりますが、トレーニング初心者はサムアラウンドグリップでトレーニングを行い、バーベルの扱いに慣れてきてからサムレスグリップを試すようにしましょう。
高重量のトレーニングを行う時は、なるべくトレーニングパートナーやトレーナーに頼んで補助についてもらった方がいいです。
また、高負荷で行うデッドリフトなどのトレーニングも、サムレスグリップだとパフォーマンスを発揮しきれません。同じように高重量でのトレーニングを行う場合は、サムレスグリップは避けた方がいいでしょう。
サムレスグリップのメリットを知って適切な握り方を覚えよう!
サムレスグリップのメリットやデメリットについて解説しました。このグリップはデメリットも確かにありますが、使い方を覚えておくとトレーニングの幅の幅も広がりますし、腕への負担を減らすこともできます。
握力を発揮しきらないことで、目的の筋肉への集中的なトレーニングも可能になるのです。安全性に気をつけつつ、トレーニングに取り入れてみてください。