逆立ちダイエットとは?世の中にはいろんなダイエット法があるもので、逆立ちダイエットというものもその一つです。逆立ちダイエットという言葉自体が若干おかしいのですが、そこでいわれている効果についても、ややおかしなものが見受けられます。今回の記事では、逆立ちダイエットの本当の効果について検証してみたいと思います。
逆立ちダイエットとは?
逆立ちダイエットと聞いて違和感を覚える方もいらっしゃるのではないでしょうか。なぜなら、ダイエットとはそもそも、食事の質や量をコントロールすることを言うからです。
逆立ちと食事とは何も関係がないので、ダイエットの意味についてちゃんと理解している人にとっては、「逆立ちダイエット?はあ?」となる訳です。
ただ、日本ではダイエット=痩せるという意味で用いられることが通常となっているため、本稿でも痩せるという観点も含めて、逆立ちダイエットについて検証していきたいと思います。
逆立ちダイエットの効果といわれているもの
それでは早速ですが、逆立ちダイエットについて、その効果といわれているものについて、まずは紹介していきたいと思います。
・上半身の強化
逆立ちをするときには、上半身、特に肩周りに多大な負荷がかかります。また、腕の筋力は足よりも弱いので、よりバランス感覚が求められることとなります。
そのため、腕の筋肉だけでなく、腹筋や背筋といった筋肉にも刺激を与えられることから、上半身の強化ができるとされています。
・肩こりの解消
逆立ちをするときには肩周りの筋肉が刺激されます。それによって血液の循環が促進されることによって、肩こりが解消できるとされています。

・四十肩や五十肩の改善
四十肩や五十肩はいわゆる俗称で、疾患名は「肩関節周囲炎」といわれます。肩関節周囲炎は普段から肩周りの筋肉をあまり使わない人や肩こりの人、肩関節が固い人などがなりやすいです。
逆立ちをするときには肩周りの筋肉が使われますし、また、肩関節を大きく動かすことになるため、四十肩や五十肩の改善効果もあるとされています。
・ホルモンの分泌が促進される
逆立ちをするときには普段と違って、頭の位置が下になります。そうすると、重力の影響で血液が頭に流れやすくなります。
頭には脳という、私たちの身体にとって司令塔ともいうべき器官がありますよね。逆立ちをすることによって脳への血流がよくなることで、ホルモンの分泌が促進されるといわれています。
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・内臓の位置が元に戻る
逆立ちをすると、普段とは逆方向に重力がかかることになります。普段は重力によって下へと下がっている内臓が、逆立ちによって元の位置に戻るとされています。
内臓の位置が元に戻ることによって、内臓の働きが活発になり、それによって代謝効率が上がるので痩せやすくなるといわれています。
・便秘が解消できる
逆立ちをすると、大腸や小腸にも好影響を与えるため、便秘が解消したり老廃物が排出しやすくなったりするとされています。

・血行がよくなる
逆立ちをすると、普段とは反対の方向に重力が働きます。そのため、足の方へと送られた血液が心臓へと送り戻されやすくなり、血行を改善することも可能だということです。
逆立ちダイエットの効果について検証!
逆立ちには以上で述べたような、さまざまな効果が期待されるということです。それではそれらの効果について、真偽の程を検証していきたいと思います。
・上半身の強化は〇
逆立ちをするときには、両腕の筋肉で自分の体重を支えることとなります。そのため、腕の筋力を強化するだけでなく、腹筋や背筋、肩周りの筋肉を強化することは可能と言えます。
ただ、逆立ちをするときに重要なのは、筋力というよりもバランス感覚です。言ってみれば、両腕をつっかえ棒にして立っているようなものです。
もし、純粋に上半身を強化したいのであれば、ウエイトトレーニングや懸垂などをおこなった方がよほど効果的だと言えます。
・肩こりの解消は〇
肩こりになってしまう原因としては2つのことがあげられます。一つ目は、肩周りの筋肉が緊張して固くなってしまうことです。いわゆるコリというやつですね。
長時間同じ姿勢でパソコン仕事をしている人などに顕著に見られます。もう一つの原因は、肩関節や肩甲骨の可動域が減少していることです。
特に、大人になると腕を上にあげるような動作が少なくなるため、肩関節や肩甲骨の可動域が狭くなりがちです。それが、血行不良を生み、結果として肩こりが生じるのです。
逆立ちをおこなうときには、腕を上にあげたような状態になり、しかも自重がかかるため、ストレッチング効果も発生します。そのため、逆立ちダイエットは肩こりの解消に効果があると言えるのです。
・四十肩や五十肩の改善は△
四十肩や五十肩の人のほとんどが、自覚の有無にかかわらず肩こりを持っています。そういう意味では、逆立ちダイエットが四十肩や五十肩の改善に効果的だと言えます。
ただし、四十肩や五十肩にはいろいろな症状があります。夜寝ていても痛むという「夜間痛」があれば、なにもしていなくても痛む「自発痛」もあります。
また、腕を上にあげる動作が痛む「可動痛」といわれる症状もあります。そして、四十肩や五十肩の慢性期によく見られるのが可動痛です。
簡単に言えば、動かさなければ痛くないけど、動かすと痛いということです。そのような人にとっては、逆立ちダイエットは無謀だと言えるでしょう。
・ホルモンの分泌が促進されるは×に近い△
逆立ちダイエットをすると、ホルモンの分泌が促進されるということですが、これに関するエビデンス(科学的な証拠)をともなう研究結果や論文などは見当たりません。
何とか逆立ちダイエットのホルモン分泌効果を科学的に検証しようと、懸命に論文などを探したのですが、残念ながら発見することは出来ませんでした。
筋トレをすると成長ホルモンが分泌されるということは科学的にも証明されているので、そういった意味では逆立ちダイエットによってホルモンの分泌が促進されると言えるかもしれません。
ただ、そもそも逆立ちダイエットには、それほどの筋力アップが望めないというデメリットがあります。そのため、ホルモンの分泌が促進されると言うことに関しては「×に近い△」をつけています。
・内臓の位置が元に戻るは×
逆立ちダイエットをすると、内臓の位置が元に戻るということですが、これに関しては×をつけたいと思います。
そもそも、内臓は私たちの体内でプカプカと浮かんでいる訳ではありません。その他の臓器や筋肉と筋膜によって結ばれています。
たかだか1分間の逆立ちダイエットをすることで(逆立ちダイエットは1分間おこなうとされています)、内臓の位置が元に戻るようなことは考えにくいです。

・便秘の解消効果は×に近い△
逆立ちダイエットをすることで、なぜ大腸や小腸に刺激を与えられるのかが不明です。「風が吹けば桶屋が儲かる」的な理屈をこねれば可能なのでしょうが、やはりエビデンスにかけると言わざるを得ません。
・血行がよくなるは〇
逆立ちダイエットによって血行がよくなることに関しては、疑いの余地がないと言えます。心臓には血液を送る働きはあっても、戻す働きはないので、逆立ちダイエットをすることによって、心臓に血液を送り返す補助ができると言えます。
痩せたいなら逆立ちダイエットは不向きです
逆立ちダイエットのウソ!ホント?逆立ちの本当の効果とは!?のまとめ
ダイエットを痩せるという意味で捉えるのであれば、逆立ちダイエットはあまり効果的なダイエット法とは言えないようです。ただ、バランス感覚の向上や肩こりの解消効果などは望めるので、1日1回おこなうのもよいでしょう。