マイナスカロリーダイエットでは、食べるだけで痩せることが可能であると聞いたことがあるでしょうか。ダイエットにチャレンジしている人は、「痩せたい」という欲求と「食べたい」という、相反する2つの欲求の板挟みとなって、日夜努力を続けていることと思います。そんなときに、「食べるだけで痩せられるよ」なんて悪魔のささやきがあったとしたら心が動かされますよね。マイナスカロリーダイエットは、それを実現してくれるといわれているのです。今回はその効果と有効性について検証していきます。
マイナスカロリーダイエットとは?
マイナスカロリーダイエットは、カロリー理論に基づいたダイエット法となっています。

カロリー理論とは簡単に言うと以下のことです
- 「消費カロリー>摂取カロリー=痩せる」
- 「消費カロリー<摂取カロリー=太る」
要するに、運動をしないで実質代謝以上のカロリーを摂取すれば太るし、食べる以上に運動をしてカロリーを消費すれば痩せる、というのがカロリー理論のコアとなっています。
通常、食事をすると食品のカロリーを摂取することとなるのですが、実は、食べたものを消化するときに、カロリー消費が起こるとされています。このことを、食事誘導性熱産生(DIT:Diet Induced Thermogenesis)といいます。
マイナスカロリーダイエットをすると、食事誘導性熱産生を利用して、食べるのに痩せるといった二律背反的な目的を達成することが可能とされているのです。
たとえば、10キロカロリーの食品を食べて、食事誘導性熱産生によって50キロカロリーを消費することができるのであれば、食べながらにして痩せるということが可能になるわけですよね。そんな夢のような方法があるのでしょうか。
マイナスカロリーダイエットをする際の食事について
マイナスカロリーダイエットをするためには、どのような食品を食べればいいのでしょうか。以下に代表的なマイナスカロリー食品といわれるものを紹介したいと思います。

・セロリ
セロリはマイナスカロリー食品の代表選手だといわれています。
セロリをまるまる1本食べたところでせいぜい5キロカロリーくらいにしかなりませんが、消化するのに50キロカロリーが必要だとされています。
・リンゴ
ダイエット食品としてよく用いられるリンゴも、摂取したカロリーよりも消化をするときに要するカロリーの方が高いとされ、マイナスカロリー食品とされています。

・海藻
ワカメや昆布、もずくといった海藻類は、カロリーが低い割にはダイエット効果が高いことで知られています。そのことから、マイナスカロリー食品ではないかと考えられています。
▼もずくを使ったダイエットの効果や方法は、以下の記事を参考にしてください。
▼ダイエットには海藻もおすすめ!詳しくはこちら↓
マイナスカロリーダイエットで痩せられるの?
マイナスカロリーダイエットでは、「痩せる仕組みについて理解していれば痩せる」ことが可能です。
持って回った言い方になってしまいますが、およそ何かを食べることで体重が減るなどということはあり得ません。それはマイナスカロリー食品と呼ばれるものに関しても同様です。次に、マイナスカロリーダイエットの内包する問題点について見ていきたいと思います。
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マイナスカロリーダイエットの問題点その1
人間がなぜ太るのかの理解に欠けている
マイナスカロリーダイエットの問題点としては、人間がなぜ太るようになったのか、もっといえば、なぜ「太ることができるようになったのか」の理解に欠けているということがあげられます。
あえて、太ることができると書いたのは、太れるようになることで人間は進化の頂点に立ったからです。生命の歴史というのは、飢えとの闘争の歴史でもあります。

弱肉強食は自然界の摂理であり、人類ももとをたどればそうでした。ところが、人類は知恵を絞って作物を栽培し、技術を革新し続けることによって、食品を蓄えるというすべを手に入れたのです。
お腹が空いたら狩りをして飢えを満たす動物との決定的な違いと言えます。要するに、食事というのは飢えから逃れるためにおこなうことと言えるのです。
マイナスカロリーダイエットのように、食べることによって痩せるという発想自体が、人類がこれまでに築き上げてきた営みを否定することに他ならないのです。
マイナスカロリーダイエットの問題点その2
カロリー神話はもう古い
マイナスカロリーダイエットの考え方というのは、カロリーの摂取量を減らすことによってダイエットをするという理論に基づいています。ところが、そのカロリー理論自体に矛盾があるとしたら、マイナスカロリーダイエットの理論も根底から覆されることとなります。
そもそもカロリーの理論は今をさかのぼること130年以上も前、ドイツ人の医師である、マックス・ブルナーによって提唱されました。その計算式は、大元のところで現在も変わることがありません。
別に計算式が古いから時代遅れという訳ではなくて、その算出法にいろいろ突っ込みどころがあるのです。まずひとつめに、カロリーを算出するときに、実際に食品を燃やすことでカロリー算出の根拠としているという問題があります。
私たちの体温は上がったとしてもせいぜい40度程度であり、空気中でものが燃えるような高温で、体内の燃焼が起こるわけではありません。また、排泄物を燃焼したときのカロリーも、算出のファクターとなっています。

たとえばセロリを1本食べたとして、セロリを空気中で燃やすときに必要なカロリーから、その排泄物を燃やしたカロリーを引いたものが、セロリのカロリーとされているのです。
ところが、セロリを食べて出た排泄物は、セロリだけでできている訳ではありません。それは、仮に3日間何も食べていなくてセロリだけ食べた場合でも同様です。
なぜなら、私たちの排泄物の半分以上が腸内細菌によって構成されているからです。そのため、ブルナーさんの計算式は根本的に矛盾を抱えていると言えるのです。
マイナスカロリーダイエットの問題点その3
科学的根拠がない
マイナスカロリーダイエットにはさまざまな角度から批判が加えられていますが、その最たるものは科学的根拠が何もないということです。科学的根拠がないから効果がないと断言することはできませんが、マイナスカロリーダイエットを商売にするならインチキの謗りは避けられないかもしれません。
科学の立場からマイナスカロリーダイエットをみた場合の批判としては、すべての人に効果がみられないことや商業的な面が垣間見られること、根拠が非科学的であったり時代遅れであったりすることなどがあげられています。
マイナスカロリーダイエットで痩せるためには?
マイナスカロリーダイエットには、残念ながら科学的根拠がありません。ただ、ダイエット法として全く無意味かというと、そんなこともありません。
マイナスカロリー食品と呼ばれるもののほとんどが、果物や野菜、そして海藻です。健康のために積極的に摂った方がよいものばかりですし、特に栄養バランスの乱れた食生活をしている人がこれらの食品を摂取することで、ダイエットをすることは可能と言えます。
マイナスカロリーダイエットは食べるだけで痩せられる?のまとめ
マイナスカロリーダイエットは、理論としては破綻していますが、摂取すべき食べ物に関しては間違っていません。食事の際に栄養バランスを考えるのは、ダイエットの基本ですからね。むしろカロリーや糖質、口にする食物に意識を向けることによって、その点でダイエットに成功する可能性だってあります。現代人は、現代型の栄養失調に陥っているといわれています。果物や野菜、海藻を積極的に摂るようにして、日頃の栄養不足を補いましょう!